次に呑む日まで

呑める日が来るまでの往復書簡

第五便

2月はあっという間に走り去り、3月。

気温が上がったり下がったり、雨が降ったり。年度末の慌ただしさも加わって、ちょっとぐったりしていたジュン・チャンです。

今週末は、別府のお魚大臣(※料理人の友人)のご飯で、エネルギーチャージした。タカシナは息災か。

 

タカシナから第四便の返信をもらった時点で、今までの往復書簡を全部読み返してみた。読み返してみると、通底しているものがある気がした。我々は、自分達が感じてきた「生きづらさ」「でも、どうしようもなさ」を言語化し考察している。まさに政治的活動だ。

そして、第四便では対話という実践法の難しさに触れた。理解しあおうとする、というのは、お互いに痛みを伴う。

対話の先、思考や行動にまで変容をもたらせるかは、本人次第だ。どうやったらここまで行き着けるか、僕は「自分ごととして、身近なものと想像し得るか」だと考えている。逆に言うと、自分の弱さに気づかない限り、想像すら難しいのかもしれない。

 とは言いつつ、タカシナが第四便の返信で書いていた[もしかしたら、伸ばされた手を掴むことより、手を伸ばすことのほうが難しいのかもしれないね。]という一文が、なんか残ってる。気づいていても、下駄を脱ぐ勇気を持つことは大変らしい。『違国日記』の笠町さん思い出した。

 

身近なもの、という言葉で浮かんできたけれど、僕にとって3月は死が近い。毎年この時期になると、日常の慌ただしさにあっても、ふと脳裏をよぎる。

17歳の時に青森で被災したこと、数年前に祖父が亡くなったことが大きい。

前者については、上京したての18歳で書いた文章が、当時の心境を正直に言い現しているので、以下写真にて掲載する。

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去年の11月、片付けていた時に発掘した。なんとはなしに読んで、とてもびっくりしたのを覚えている。

ちなみに、毎年定期的に持ち物の見直しはしていて、この文章もその度に読んできてはいるわけで。

それなのに、本当にすっごいハッとさせられた。18歳の自分が、こんなにも苦しんでいたことに。かと言って、今は苦しんでいない、というわけではないけれど。当時と比べると、呑みこめてきているのかな、とは思う。18歳の自分と相対したとしても、僕には何もできないだろう。深い苦しみを抱えた人に、周りができることなんて、寄り添い見守るくらいだ。

川上未映子『夏物語』が衝撃作品だった理由は色々あるけれど、僕はタカシナが指していたある人物と、全く同じ考え方を自分に対してしている。僕は彼女と違い、直接的な性暴力を受けたことはないけれど、自分が生まれてきたことも、生きてしまったことも、どこか認められない10代、20代前半を過ごしてきた。

それでも、大学でやってきた問答を、学舎を出たこの5年間も続けてきた結果、自分の中で色々なものが繋がり、腑に落ちてきた感覚がある。その感覚を得た時に、僕は生きていく責任を痛感した。何も知らなかった時には戻れない。

 

2019年、コロナ禍で騒つく初夏に、山脇益美さんが初の詩集『朝見に行くよ』を上梓した。山脇さんとは別府生活1年目で知り合い、話す言葉の雰囲気に僕が惚れ込んだ。

詩集のあとがきを読んで、自然と涙が出た。傷つくことも、傷つけることもまるっと包み、生きていいんだ、と言ってくれているようだった。

そして、この半年間を振り返り、収録作品の中で「モーニング」が自分としみじみマッチしてくるのだった。

第四便に書いたみたいに、かなしいこともあったけれど、別府に来て、人に出会って、僕は救済されたんだなあ。

『朝見に行くよ』学級文庫普及計画を画策している。

京都の喫茶フィガロ冬の文化祭2020で公演した動画、ぜひ観てね。

 

声に出す×揺れる『I see you, I see me』
原作 山脇益美詩集『朝見に行くよ』
アーカイブ①】
https://twitcasting.tv/89mytakta/movie/658678783
アーカイブ②】
https://twitcasting.tv/89mytakta/movie/658682620
アーカイブ③】
https://twitcasting.tv/89mytakta/movie/658686743

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詩集読みたかったらプレゼントするから、LINEしてくれ。

 

ま、そんなわけで。

あれから10年近く経ったいま、自分にできることを考えて、特にできることもないので、やっぱ政治的活動をすることにした。

肚決めて、生きるしかない。

 

『この世界の片隅で』

2021年3月11日(木)
 於 カレーやMOMO

【第一部】
・14時〜14時半
 廣瀬正樹『捜す人 津波原発事故に襲われた浜辺で』より抜粋朗読

・14時半〜
 フリートーク、途中退店可

【第二部】
・19時〜19時半
 いとうせいこう『想像ラジオ』より抜粋朗読

・19時半〜
 フリートーク、途中退店可

【料金】
ワンオーダーをお願いします。

【参考】
『想像ラジオ』冒頭
https://twitcasting.tv/89mytakta/movie/667665580

『想像ラジオ』第四章
https://twitcasting.tv/89mytakta/movie/670489505

『想像ラジオ』第五章
https://twitcasting.tv/89mytakta/movie/668002848

【予約状況】3月7日時点
14時の回3名、19時の回5名

【企画】白米炊けた。

 

タカシナ、ツイキャス配信したら聞く?