次に呑む日まで

呑める日が来るまでの往復書簡

第十三便

 

久々書き出し、ジュン・チャンです。

毎年1月は発熱やら腹を壊すやら扁桃腺炎やら、体調不良のオンパレードだったけど、今年は上手くバランスを取って過ごせた。自分でも感心している。足と腹を冷やさない、食べすぎない飲みすぎない、夜更かししない。基本的なことが大事だったようだ。

2月に入り、九州は日の出が少し早くなった。相変わらず寒い日が続いているけれど、朝起きやすくなった。やっぱり僕は、季節の日照時間に合わせて生活した方が良いと確信した。関東はまだまだ寒いのだろうなあ。東京のビル風が冷たかったのを思い出す。

さて、ちょっと話題を緩めようと思っていて、何を書こうかと考えてみた。今までと趣向を変えて、僕が今年1月にあった企画のために書いた詩を贈ろうと思う。

 

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『はじまり』

本気で物を生み出す人は、言葉も真摯だ

泥まみれの自分なんか、きっとこの場には相応しくない

けれども

この眩ゆい光を支えるために

勇気を出して、言葉を紡ごう

繋いでいく、輪のような

すべては、ここからはじまる

 

『決意の詩』

自分はまともだという奴ほど、まともじゃない

言葉が面白い、と軽々しく言う奴ほどタチが悪い

そういう奴ほど、自分の話したことはどんどん忘れていく

結局どうだって良いのだ

そんな奴といる時間が無駄だ


横にいる人との連帯

それだけが生きるための頼りだ

背負っていく孤独

それは生きるための糧になる


孤独に堪えきれず

泣いてしまう夜もあるけれど

ひとり漂っていくしかない

漂白の旅、そんなもんだ


進もう

真っ暗闇を手探りで

いつか見える

光を信じて

 

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『ひさかたの光を待つ』

今年の冬は寒い

山のてっぺんには雪が積もったままだ

白い山頂を見上げながら

長い坂道を登っていく


友を失った

永遠に続くと思っていた

呆気なく千切られた

あれから時が経ち

新たな友を得て

なんとか今、ここに立っている


17時半にもなると真っ暗だ

眠気が込み上げてくる

ぼーっと湯に浸かる


湯上がり

外に出ると、吐く息が白い

雪はあたたかい

氷はあつい


厳寒の闇の中

うずくまりながら

ただただ春を待つ

つま先が冷たい

蝋梅が夜に薫る


ともすれば息を吸うように

向こう岸へ渡ろうとする僕を

引き止める

いったいなんなのか


分厚い雲の隙間から

光が射した

少しずつ青空が広がっていく

ぽつりぽつりと咲き出した菜の花が

春の訪れをひっそり告げていた

今はもう少し、この寒さと戯れていよう


あなたが越えないといけない

ひとりの夜が

優しいものでありますように

 

 

一連の詩は、服飾作家と工芸作家のクローズイベントで朗読した。朗読や音楽に踊りを合わせていただき、とんでもねえライブ作品となった。めちゃくちゃ楽しかった。

『決意の詩』は、1年前にタカシナに原案を送っているけど、今回の企画意図や自分の心境の変化もあり、改編している。こうやって詩を書くこと自体10年以上やっていなかったし、人前で発表するなんて初めてだった。

タカシナも僕も、これまでの往復書簡の中で、よく文章や歌詞を引用してきた。言葉で表現することについて、それを受け取ることについて、タカシナが何を考えるか聞いてみたいなあと思う。

あまり難しく考えず、徒然なる感じにお返事下さいな。

 

あと、今年も3月11日に朗読企画を行う。上記からも一部読み上げる。やれる限りは継続したいと強く思う。去年贈った、18歳の時の文章も読み上げる。

第五便 - 次に呑む日まで

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寒の戻りがまだまだ厳しい。お互いあったかくして過ごそう。お腹と腰にカイロが沁みるぜ。